『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』



監督は『マン・オブ・スティール』に続き、ザック・スナイダー。ブルース・ウェイン役にベン・アフレック、レックス・ルーサー役にジェシー・アイゼンバーグ。

わからない部分が多数あったので、まともな感想が書けない。それは、そもそも原作であるアメコミを読んでいないからわからないものなのか、読んでいる人でもわからないのかすらわからない。

一応ですが、
原作であるアメコミはまったく読んでいない。
バットマン映画はノーラン三部作しか観ていない。
スーパーマン映画は『マン・オブ・スティール』しか観ていない。
SNSで漏れ聞こえてくる俳優関連の知識だけは入っている。

こんな状態だけで観ました。

以下、ネタバレです(でもネタバレのようなこともできていないかと思う)。








ブルース・ウェインの過去、両親が殺されるシーンから始まるが、本作でクラーク・ケントの過去については特に語られない。それは、『マン・オブ・スティール』を観てねということなのだろう。途中で、地球での父親であるケビン・コスナーも出てくるし、明らかに続編である。ただ、『マン・オブ・スティール』というタイトルでスーパーマンだとは思わない人もいるかもしれないし、この映画を最初に観ている人も多そう。
クラーク・ケントの恋人であるロイス(エイミー・アダムス)もいきなり出てくるし、本作から見始めたらわからない部分もありそう。

『マン・オブ・スティール』の最後のバトルでは町を壊しまくっていて、本当に守ろうとしているのか、住んでいる人、働いている人などは大丈夫なのかと思っていたが、それはただ派手さを追求しようとした描写ではなく、伏線だったようです。このことが問題になっていた。
ただ、これで人々がスーパーマンに対し、畏怖の念をいだいて、バットマンをあのライトで呼んで倒してもらう、みたいな話なのかと思っていたけれど、そうではなかった。
それだけなら、とてもシンプルだし、わかりやすかったと思う。でも、レックス・ルーサーがいらなくなってしまう。

バットマンがどう思うかはおいておいて、世間の人々はスーパーマンのことをずっと怖がっているのかと思っていたらそうでもないようだった。
メキシコの死者の日にはスーパーマンが事態を救っていて、そこでは皆が感謝をしているようだった。スーパーマンを真ん中に置いて、骸骨(メイクの人たち)が手を伸ばしているのは、少し不吉さも漂って絵が恰好良かった。ポスターにしてほしい。

結局、レックス・ルーサーの暗躍で二人は戦うことになるのだが、そこにたどり着くまでがとても長い。予告編や、もちろんタイトルでも二人が戦うのはわかっていることだ。ちょっとひっぱりすぎな感じもした。ザック・スナイダーなこともあって、画面もずっと暗いです。

レックス・ルーサーがロイスを屋上に呼び出すあたりからがわくわくしました。かなり後半だけど。
レックス・ルーサー役のジェシー・アイゼンバーグ、彼らしい早口は今回も健在。けれど、いつからか童貞臭がしなくなってしまった。髪型かもしれない。でも、彼女がミア・ワシコウスカだもんな…。垢抜けるに決まっている。
キレモノというか、危ない部分はあるけれど、恰好良い天才のようになっていた。

ただ、結局、レックス・ルーサーがなんで二人を戦わせたのかもよくわからなかった。最初は、自分は父親から愛されなかったけれど、養父にさえ愛されたクラーク・ケントに対する恨みなのかとも思ったけれど、そんな人間味のある面を出してくるとも思えない。
バットマンとスーパーマンの共倒れを謀ったのだろうか。二人が同時に消えたら自分の計画がやりやすくなるとか。

たぶん名前があるのだと思いますが、バットマンがスーパーマンと戦うときに着てくるゴツゴツしたスーツが恰好良い。重くて動きづらそうだけど、ただの悪党ではなく神様と戦うにはあれくらい必要なのだろう。

それにしたって、普通の人間では無理なのではないだろうか?と思っていたが、エメラルドの物体(クリプトナイトというらしい)が弱点らしく、それで倒すことができそうだった(ちなみに、倒れたスーパーマンの足を持って引きずるシーンで、赤いマントが床に大きく広がっているのも恰好良かった。ここもポスターで欲しい)。
しかし、映画を観ている側はスーパーマンが悪ではないことを知っているし、戦いたくて戦っているわけではないことを知っている。だから、バットマンがんばれ!という気持ちにはなれない。

大ピンチだけどどうするのだろう?と思っていたら、スーパーマンは「マーサ」という名前を口にする。それはクラーク・ケントの養母の名前なんですが、ブルース・ウェインの母も同じ名前のため、手が緩む。
一瞬、え?兄弟?と思ってしまったが、ブルースの母は撃たれて死んでしまっているし、もちろんそんなわけはない。ただの偶然である。そんなご都合主義でピンチを脱出するなんて許されるの?と思ってしまった。けれど、それは私がここまで両母親の名前を意識してなかったから、そんなこと急に言われてもと思っただけで、元々アメコミを読んで、常識として母の名前が同じというのを知っている人からしたら、伏線回収とかうまく生かしたなと思うのかもしれない。

そして、わりとあっさり共闘することになる。二人が戦っている時間はほんの少しだった。もう一回くらい、映画の前半にバトルがあったら良かったのに。一回目では引き分けのまま帰って、もう一回対戦、それで共闘するくらいが良かった。
共闘ものや呉越同舟ものは好きだけれど、もっと争ってからタッグを組んでほしい。

そして、共通の敵、ドゥームズデイと戦うんですが、この敵も知ってたら盛り上がったんだろうな…という感じがした。名前はなんとなく知っていた。

二人で戦っていたところに駆け付けるのがワンダーウーマン。彼女についても、昔テレビで観たことはあったけれど詳細わからず。
でも、各所で彼女が出てくる時の音楽がめちゃくちゃ盛り上がると聴いていて、映画で実際に観たときにこれか!と思って顔がにやけてしまった。“Is She with You?”というタイトルです。
今回、音楽はハンス・ジマーとJunkie XLなんですが、この曲はJunkie XL色が強いと思う。『300<スリーハンドレット> 〜帝国の進撃〜』の後半の、ネタバレになるので詳しくは書きませんがすごく盛り上がるところがあっって、そこの音楽に似ている。この映画の音楽もJunkie XLです。

そして、最後もあっさりとスーパーマンが死んでしまって驚いた。この先、ヒーローがいっぱい出てくるみたいだし、スーパーマンはここで退場なのかもしれないな…と思っていたが、最後の最後に…。

本当に、話はよくわからない部分も多かった。けれど、そこで匙を投げたくなるわけではない。これから何かが始まるワクワク感は確かに残った。

ワンダーウーマンがフォルダを確認しているシーンでは、他のヒーローの姿も少しだけ見ることができる。エズラ・ミラーが一瞬映ったときに、そういえば、結構前に彼がDCのヒーローをやるという話を聞いたことを思い出した。あの稲妻のアイコンはザ・フラッシュというヒーローらしい。他の二人、海の中にいたのはアクアマン(ジェイソン・モモア)、サイボーグ(レイ・フィッシャー)とのこと。

“ジャスティスの誕生”というサブタイトルから、ただ単にスーパーマンとバットマンのどっちかが勝つか、二人で何かに勝つかして、そのまま、正義の味方見参というような意味かと思っていた。けれど、このジャスティスって、ジャスティス・リーグのジャスティスだったのか。
物語の動き出す瞬間が確かに目撃できる。

マーベルのヒーローチーム、アベンジャーズと比べると(比べたら怒られるかもしれない。DCファンとマーベルファンは、スタートレックファンとスターウォーズファンみたいなものかもしれないし、原作ではジャスティス・リーグのほうが前らしいので。でも、原作未読のため、映画の話として、敢えて比べると)粋なセリフが少ないかなと感じた。トニー・スタークのようなお調子者がいないからだろうか。

それでも、ドゥームズデイとのバトルでワンダーウーマンが出てきた時、スーパーマンとバットマンが「君の知り合いだろ?」「いや、お前のだろ?」って二人で「誰?」ってなっているのはおもしろかった。

あと、執事のアルフレッドは、『ダークナイト』のマイケル・ケインも皮肉っぽいことを言いながら、ぼっちゃんに対する愛はかかさないとてもいい役だったんですが、今回もとてもいい。今回はジャレミー・アイアンズです。『ブライズヘッドふたたび』のチャールズも良くて、もちろんだいぶ年はとっているけれど、いい年の取り方をしている。無精髭、シャツ腕まくり、なのに上品。眼鏡も似合っています。

レックス・ルーサーは原作では坊主なのに、ジェシー・アイゼンバーグの髪の毛はそのまま…という不満も某SNSで見かけたのですが、ラスト付近で、捕まって髪剃られていた。なるほど! なんとなく、『007 スペクター』のブロフェルドの近くに毛の長い白い猫が歩いていたシーンを思い出した。がっつりでなくても、ちょこっとした原作オマージュ。それに、レックス・ルーサーは死んでいないので、次作以降はもしかしたら坊主で出てくるのかもしれない。

レックス・ルーサーは自分の部屋にある、下から悪魔が這い出てこようとしている絵画を見て、「この絵は上下逆だと思わない? 悪魔は本当は空から来るのに」と言う。もちろん、スーパーマンのことを示しているのだと思うけれど、映画のラスト付近で、部屋の絵が逆になっているのが映る。レックス・ルーサーはまだスーパーマンに対する恨みというか悪意というか、想いを抱えたままなのだろう。このままで終わるとは思えない。

思い出していると、何故だかもう一度観たくなってしまう…。よくわからなかったのに不思議な映画。


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